いのたまメンタルヘルス会議室/運営日誌
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[貝の眠り](2011/01/27(Thu.) 01:27)
今はほとんど治ったが、銃声やそれに近い音が苦手だった。近くで花火大会があると知らなかった時、突然の音に驚いて、机の下に隠れた。テレビ番組は自分が観ていて「これは現実ではない」とわかっていれば大丈夫だったが、唐突に聴こえると、体中の神経が逆立った。

休日、私が自室にいて、夫が居間でアメリカの刑事物のドラマを観ることがよくある。テレビから銃声が聴こえ、「ヘッドフォンしてって言ったでしょ!」と何度か怒鳴り込んだ。夫は最初のうちは驚いたが、何度目かの時「きみはシェルショックか」と言った。

その顛末を当時の主治医に話した。
「うん、シェルショックの部分はあるね」
「私は自分の意志で政情が不安定な国に行った。だから、報いは甘んじて受ける」
「症状が報い?」
「私は日本人だから安全な日本に戻ってこれた。でも現地の人は違う」
「罪悪感がある?」
「ないわけないでしょう」

何年か経つうち、音に対する過敏さは薄らいでいった。10年以上かかった。最近では、かつての反応が時々懐かしくなる。

まだ反応していた頃に起きた出来事には足かけ10年、拘泥した。解決した今となっては、取り組んでいた頃のエネルギーが懐かしい。どんなにつらくても、真正面から向き合ったことは、違う感情を持つ日がいつか来る感じがする。


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