土居健郎 著「「甘え」の構造」(弘文堂)を読み終えた。いつも
のように感想など。
本書について、河合隼雄氏が別の著書で高く評価していたが、
その意見を身をもって知るという貴重な経験ができた。本書の
ような書籍が容易に入手できる今の仕事に、ただ感謝する
ばかりである。
個別にみて印象に残るのは、まず、日本語で表現するところの
「甘え」に相当する適切な言葉が欧米の言語に見つける
のが難しいと言う点である。言葉があれば、それについて
考えをめぐらせ理解を深めることもできる。しかし、説明
しようにも適切な言葉が存在しなければ、相手の理解
を得るのは難しい。また、言葉が存在しないことが、
そのまま「甘え」に相当する現象が見受けられないという
ものでもないことが、問題を複雑にしている。
次に、「出発点の自己否定に無理があればあるだけ、
そこから結果する行動は戦闘的暴力的とならざるを
得ない」ということは、注意していれば日常で目の当たり
にすることもある。同趣旨の危険性は養老先生も指摘
していた。
最後に、現代のような様々な意味で困難な時代を生き抜く
ためには、インターネットにおいて到底期待できない確かな
考えが必要であると実感した。本書から学んだことを実践
できるよう心がけたい。 |
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