池田晶子 著「人間自身 考えることに終わりなく」(新潮社)
を読み終えた。いつものように、感想など。
池田晶子氏の新刊本としては、本書がおそらく最後になる
であろう。このような形で死に出会うとは。他の著書と同様に
本書も興味深く読んだ。単なる偶然なのか、読んでいて内容
が養老先生の記述と重なる部分が多かった気がする。私が
読んでいるくらいなのだから、池田晶子氏が養老先生の本
を読んでいたとしても不思議ではないのだが。
個別にみて印象に残った部分を挙げるならば、まず「生死
というのは、あるようでない、空なのだ。」というところ。ここ
は養老先生の「無思想の発見」にも紹介されていたが、生命
科学者である柳澤桂子氏も同じことを述べていたような。
次に他人を使ってでも自己の痕跡を残そうとするのは、
自己への執着であるとの指摘には、確かに不自然な
印象を受ける。脳というのは、時に無茶な要求をするもの
である。
最後に、「とにかくわずかでも先へ進む。そうした孤独な
自己精進が人生なのだ」という記述はしっかりと覚えて
おきたい。とはいえ、インターネットに感想を書いている
間は何もわかってないのだろう。
改めて、故人のご冥福をお祈りします。 |
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